■ホビーロボット部品の製造・販売 
  モータコントローラ、センサ、音声、画像、無線モジュールなど、
■ホビーロボット制作記事のページ (各種マイコン、PCとの接続事例)
■特殊メイク、特殊材料の販売 ※特殊メイクのコーナーはこちらに移りました。
 Easy Robotics for all enthusiastic people!!!  ---HOBBY ROBOT PARTS SHOP ASAKUSAGIKEN---   Since 2003...
Top(お知らせ) 製品紹介 使い方とサンプルプログラム 通信販売 リンク ロボット掲示板 会社案内

話すロボット

市販録音キットの改造


初めに

いままでは動くものを扱っていましたが、今回は”音声”です。話すコンピュータというと思い出すのは宇宙空母ギャラクティカの発進するときに「行くわよ−ん。(日本語吹き替え版)」と言う戦闘機や、ナイトライダーで車に乗るたびに「やあ、マイケル!」と挨拶してくれるスポーツカーが思い出されるとかと思います。私の知り合いではカレーを作って半年ぐらい放置しておいたら家に帰ったときになべから「おかえり!」と聞こえたそうです。そのような生物的なアプローチではなく、電子回路で音声をやろうとした場合にぶつかるのが
1)アナログ回路がからむので大変
2)データ量が多くなるので大変
という問題があり、専用ICチップなくしてはとても大変なことになります。

音声ICチップでお手軽なのがナショナルセミコンダクタ社のDIGITALKERシリーズやISD社のシリーズがあります。DIGITALKERは130語ぐらいの単語(英語です。)が登録されていて番号を指定するとその番号の言葉を話すというもので、ISDの方は10〜240秒のデータを録音し、再製するというものです。但し、これらのものも外部回路が必要になります。

当ページは「初心者でもお手軽にロボットを作る」という主旨なので今回は市販されている電子工作キットに改造を加え、マイコンなどで簡単に制御できるものを作ります。マイコンにはいつものようにSTAMPを使いますが、5V駆動のマイコンならこのやり方でOKだと思います。市販キットは エスケイ電子の「e−メモ 」を使います。


エスケイ電子のe−メモ

今回使用するキットの発売元は

(有)エスケイ電子 092-623-0717

です。秋葉原では千石通商とTheコンの横の若松の2Fにありました。東急ハンズにおいてあるときもあるそうです。3000円ぐらいです。基本的なキットの構成は
ZEx-5-1
となっており、ACアダプタとスピーカーは別売りになってます。機能はRECスイッチを押すと16秒の音声録音が出来、PLAYを押すと再生します。この「スイッチで操作する部分」をマイコン制御するのが今回の目的です。このキットの中心は録音/再生をするチップISD1416Pです。電源はACアダプタではなく、9V電池直結でも動作しました(が、弱っている電池では動きませんでした。注意!)。



ISDの1400シリーズ

音声チップのピン配列と、データシートに載っている回路例は下記の通りです。とりあえず動けば問題なし、という方はこの部分を飛ばしても次へ言ってください。

ピン配列
ZEx5-2

回路例

ZEx5-3

これはデータシートの回路図でキットの回路ではありません。ご注意下さい。キットの回路は更にスピーカーをドライブする回路や電源回路などが追加されています。



改造

上記の回路例を見ると、PLAYまたはRECはグランドにつながった時、つまり0Vになったときに動作します。用はここにマイコンの出力をつなぎ、通常時はHigh(5V)、動作させるときにLow(0V)にしてやれば動くハズです。ということでキットにスイッチを取りつけず、マイコンにつなぐ線をつけたのが下記です。

ZEx5-4
白い線は本来ジャンパを取りつけて16秒録音または8秒録音を選択するところです。スピーカーは8Ωの小型SPをつけています。本来スイッチがあるところにRECとPLAYの線を取りつけています。線は実験しやすいようにブレッドボード用の配線をはんだ付けしてあります。

ZEx5-5
PLAYは写真の部分に取りつけます。他の3つの穴はなにもしなくてもOKです。

ZEx5-6
RECも同様に線を取りつけます。また、裏のパターンを見ると動作時に写真左上と左下の穴はつながっていなくてはならない為、あまったリード線などでショートさせます。写真は裏ではんだ付けされています。

ZEx5-7
ここは本来ジャンパ用のソケットを取りつけるところです。通常はジャンパをショートさせたときにHIgh、外したときにLowになります。Highなら16秒録音、Lowなら8秒録音で、8秒×2の録音も可能です。この場合、はじめにLow(本来ならジャンパ外す)で8秒以内の録音をし、次にHigh(本来ならジャンパ取りつける)で8秒以内の録音をします。再生時にはLow+PLAYではじめの方、High+PLAYで2番目のほうを再生します。



マイコンとの接続

今回は実験なのでSTAMPマイコン+キャリアボードのセットにこのキットをつなぎます。接続は下の通りになってます。
ZEx5-8
キャリアボードはプログラムをPCから転送するのに使いますので実際にロボットに組み込むときは使わなくてもOKです。また、9V電池も一個でOKです。上の写真では電源を分岐させる部分を作るのをサボったので電池を2個つかってます。よって、実際にはe−メモとSTAMPと9V電池のみの構成という非常にコンパクトなものにすることが出来ます。

ZEx5-9
秒数切り替え→STAMPのポート1へ
RECを→STAMPのポート3へ
PLAYを→STAMPのポート5へ
つないでいます。


プログラム

3秒ごとにRECとPLAYを繰り返すプログラムを組んでみました。下記の通りです。
------------------------------------
loop:

'設定(全部PLAYとRECをOFF、16秒モード)
high 1
high 3
high 5

'切り替わるまでの待ち時間
pause 100

'RECを3秒間ON
low 3
pause 3000

'RECをOFF
high 3
pause 100

'PLAYを3秒間ON
low 5
pause 3000

'PLAYをOFF
high 5
pause 100

'繰り返し(初めに戻る)
goto loop
------------------------------------

STAMPBASICの解説は「マイコンを使ってみよう」を参照願います。
highコマンドは次にくるポートからHighを出力します。初めの部分はREC、PLAY、秒数設定をHighにしています。
Lowは指定したポートからLowを出力するので「low 3」でREC、「low 5」でPLAYとなります。が、設定後、すぐにRECしようとLowにすると各チップが追いつけずに誤動作します。よって、空白の時間を設けて設定が終わるのを待ちます。ここでは「pause 100」とし、100ms間待っています。
と、このような簡単なプログラムで音声出力が出来ました。



完成!!

今回はひじょーに楽をした実験でしたが結構つかえるものだと思います。下の写真はSTAMPをキャリアボードから外し、電源を一個にしたところです。さらに2秒間録音し、その後録音したものを繰り返しPLAYするプログラムに組替えました。その様子は写真をクリックすると映像が出ます。AVIファイルで2MBぐらいです。
ZEx5-10

2001年2月10日
(C)Copylight 2003. 有限会社浅草ギ研 | 通信販売の法規(訪問販売法第8条)に基づく通信販売業者の表示